個人情報マスキングの方法・やり方3つ|ChatGPTなどAIに貼る前に(手作業・Wordの置換・無料ツール)
「お客様の名前が入ったメールを、ChatGPTに要約してもらいたい。でも、名前をそのまま貼るのは気が引ける」。
そんなときに使うのが マスキング(伏せ字への置き換え)です。
この記事では、特別な道具がなくてもできる方法から、自動でやる方法まで、3つのやり方を比べます。どれを選んでも、最後に目で確かめる ことだけは共通です。
マスキングの基本:「消す」より「置き換える」
名前を ■■■ や ○○ で消すと、AIは「誰が」「誰に」を区別できなくなり、答えがちぐはぐになりがちです。
おすすめは、[氏名1]、[氏名2]、[会社1] のように、種類と番号で置き換える ことです。
- 同じ人は、文章のどこでも同じ伏せ字にする(山田さん → いつも [氏名1])
- 別の人には、別の番号をつける(鈴木さん → [氏名2])
- 「様」「さん」「御中」は伏せ字の外に残す([氏名1]様)
こうしておけば、AIは「[氏名1]様への返信」として自然な文章を作れます。そして答えの [氏名1] を山田に戻せば完成です。
やり方1:手作業で書き換える(短い文章向け)
数行のメールなら、メモ帳に貼って自分で書き換えるのがいちばん早いです。
- 文章をメモ帳などに貼る
- 名前、会社名、住所、電話番号、メールアドレスを探して、伏せ字に書き換える
- 書き換えた対応([氏名1]=山田太郎 など)を、手元にメモしておく
- 伏せ字の文章をAIに貼る
向いている: 3〜5行の短いメール
弱いところ: 長い文章では見落としが出る。署名の名前や、本文の途中の電話番号を忘れやすい
やり方2:WordやExcelの「置換」を使う(同じ名前が何度も出る文章向け)
議事録や報告書のように、同じ名前が何度も出てくる文章なら、置換機能が便利です。
- 文章をWordに貼る
- Ctrl+H で「置換」を開く
- 「検索する文字列」に 山田太郎、「置換後の文字列」に [氏名1] を入れて「すべて置換」
- 名字だけ(山田)でも出てくるなら、それも同じ伏せ字で置換する
- 人数・会社の数だけ繰り返す
向いている: 登場人物が決まっている議事録、毎月同じ取引先が出てくる報告書
弱いところ: 置換する言葉は自分で見つける必要がある。電話番号やメールのように毎回ちがう情報は、一つずつ探すことになる
よくある見落とし
- メールの最後の 署名(名前、携帯番号、メールアドレス)
- 「担当:佐藤」 のような短い書き方
- 全角と半角のちがい(03-1234 と 03-1234 は別の文字として扱われる)
- 本文に引用された 前のメール(返信の下にぶら下がっている部分)
やり方3:自動で置き換える道具を使う(毎日使う人向け)
毎日のようにAIを使うなら、置き換えを自動にすると、手間と見落としが減ります。
選ぶときは、次の3点を確かめてください。
- 文章を外部のサーバーに送らないか(マスキングのために別の会社へ送っては意味がない)
- AIの答えを、元の名前に戻せるか(戻せないと、結局手で直すことになる)
- 伏せすぎないか(「お客様」「ご担当者様」まで伏せると、文章が読みにくくなる)
私たち(合同会社mico)は、この3点を満たす無料の道具「AI伏せ字」を作りました。名前・会社名・住所・電話番号・メールなどを [氏名1] のような伏せ字に置き換え、AIの答えを元に戻せます。処理はすべてブラウザの中で行い、文章は外部に送信しません。
インストール不要の体験ページ:こちら
あわせてChatGPT・Gemini・Copilotの「学習させない設定」も(ただし伏せ字の代わりにはならない)
マスキングとは別に、使っているAIの「入力した内容を学習に使わない」設定も確かめておきましょう。項目の名前はときどき変わるので、近い名前のものを探してください(2026年10月時点)。
- ChatGPT:設定 → データコントロール → 「すべての人のためにモデルを改善する」をオフ
- Gemini(個人のGoogleアカウント):設定とヘルプ → アクティビティ → 「Gemini アプリ アクティビティ」(新しい画面では「アクティビティを保存」)をオフ。会社の Google Workspace のアカウントは、管理者の設定に従います(詳しくは Geminiに個人情報はどこまで入れていい?)
- Copilot(個人のMicrosoftアカウント):プロフィール → プライバシー → 「モデルのトレーニング」の項目をオフ。会社で契約した Microsoft 365 Copilot は、会社の管理です(詳しくは Copilotに個人情報はどこまで入れていい?)
- Claude:設定 → プライバシー → 学習への利用の項目をオフ(詳しくは Claudeに個人情報はどこまで入れていい?)
ただし、オフにしても、入力した文章はAIの会社のサーバーに送られ、一定期間保存されることがあります。「学習されない」と「外に出ていない」は別のことです。名前や電話番号は、設定とは別に伏せ字にしてから貼るのが確実です。
PDFの「黒塗り」はAIに読まれることがある
PDFの上に黒い四角を重ねただけの黒塗りは、見た目が隠れているだけで、下の文字は残っています。ChatGPTなどにPDFをアップロードすると、AIは見た目ではなく中の文字を読むので、黒塗りした名前もそのまま伝わることがあります(「pdf 黒塗り 見える」と調べる人が多いのはこのためです)。
- 確かめ方:黒塗りしたPDFを開いて、全部選択(Ctrl+A)→コピー→メモ帳に貼る。隠したはずの名前が出てきたら、文字は残っています
- 確実なやり方:PDFにする前の Word・Excel で、名前そのものを [氏名1] のように置き換えてからPDFにする。元のファイルがなければ、PDFの文字をコピーして伏せ字にし、文章としてAIに貼る
- PDFのまま確実に消す:PDF墨消しで消したい所を囲むと、塗ったページを画像にして保存するので、下の文字は残りません(無料・アップロードなし)
- 紙をスキャンした書類:ペンの黒塗りは、スキャンの明るさによって透けて読めることがあります。AIに渡す前に、画像を拡大して確かめてください
どの方法でも、最後に必ずやること
- 伏せ字にした文章を、送る前に一度読む。 自動の道具でも、判定は機械的なルールなので見落としがありえます
- マイナンバー、口座番号、健康の情報は、伏せ字にしても貼らない(理由は https://micoficial.github.io/ai-fuseji/articles/customer-info-chatgpt.html )
- 会社のルールを確認する。 ルールがなければ、ひな形から作ると早いです:https://micoficial.github.io/ai-fuseji/articles/ai-shanai-rule.html
- どこを隠すか迷ったら、12か所の一覧:https://micoficial.github.io/ai-fuseji/articles/masking-kasho.html
- ほかの道具と比べたいなら、無料・買い切り・月額の比較:https://micoficial.github.io/ai-fuseji/articles/masking-tool.html
まとめ
- 短いメール → 手作業で十分
- 同じ名前がくり返し出る議事録・報告書 → Wordの置換
- 毎日AIを使う → 自動の道具+最後に目で確認
「消す」のではなく「[氏名1] に置き換えて、あとで戻す」。これだけで、AIに頼める仕事の幅がぐっと広がります。