ChatGPTに顧客情報を入れていい? 事務・総務がまず知っておきたい3つの線引き
「お客様からのメールをChatGPTに貼って、返信の下書きを作ってもらいたい」。
事務の仕事でいちばん多い使い方ですが、同時にいちばん迷う使い方でもあります。
結論から言うと、顧客情報は「そのまま」は入れない。名前や連絡先を伏せ字にすれば、ほとんどの仕事は頼める、です。
この記事では、迷ったときの線引きを3つに分けて整理します。
線引き1:そのまま入れてはいけないもの
次の情報は、ChatGPTなどの生成AIにそのまま貼らないのが基本です。
- お客様の 氏名、住所、電話番号、メールアドレス
- お客様の 会社名と、取引の金額や条件の組み合わせ
- 生年月日 や、年齢と名前の組み合わせ
- 社内の 顧客番号・会員番号
理由はシンプルで、サービスの設定や契約によっては、入力した内容がサービス提供者の側に保存されたり、品質向上に使われたりすることがあるからです。個人情報保護委員会も、生成AIに個人情報を入力するときの注意を呼びかけています。
線引き2:伏せ字にすれば頼めるもの
上の情報も、[氏名1]、[会社1]、[電話1] のような伏せ字に置き換えれば、多くの仕事を頼めます。
- お詫びや問い合わせへの 返信メールの下書き
- 契約更新や日程調整の お知らせ文
- お客様とのやり取りの 要約
- 言い回しを 柔らかく直す
AIは「山田太郎さん」でなくても、「[氏名1]様への丁寧な返信」で十分に文章を作れます。受け取った答えの伏せ字を、元の名前に戻せば完成です。
線引き3:伏せ字にしても入れてはいけないもの
伏せ字は便利ですが、万能ではありません。次のものは、伏せ字にしても貼らないのが安全です。
- マイナンバー、口座番号、カード番号の一覧(番号そのものが問題になる)
- 健康状態、病歴、家庭の事情(特に配慮が必要な情報)
- 契約で第三者に出さないと約束している情報
法律の目線:生成AIへの入力は「第三者提供」になる?
「お客様の個人情報をAIに入れるのは、本人の同意なく第三者に渡すこと(個人データの第三者提供)にならないか」は、総務・士業の方からよく出る問いです。
個人情報保護委員会は2023年6月2日の注意喚起で、次のように整理しています。
- 会社(個人情報取扱事業者)が、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、それが回答を出す以外の目的(学習など)に使われる場合、個人情報保護法に違反するおそれがある
- 入力する前に、サービス提供者がその個人データを機械学習に使わないことなどを十分に確かめる
- 入力する個人情報が、会社が決めた利用目的の範囲内かも確かめる
つまり「学習に使わない設定・契約になっているか」が分かれ目の一つです。ただし、どのサービスのどの設定なら問題ないかを委員会が個別に示したわけではありません。設定は変わることもあり、病歴などの要配慮個人情報はさらに慎重な扱いが求められます。
いちばん迷いが少ないのは、そもそも個人データを入力しないことです。名前や連絡先を伏せ字にしてから貼れば、この問い自体が起きにくくなります。
※ 一般的な整理で、法律の助言ではありません。判断に迷うときは、委員会の公表資料や専門家にご確認ください。改正の動きは個人情報保護法の改正(2026年)とAIにまとめています。
迷ったときの判断のしかた
- その文章に「誰か」が分かる情報は入っていますか? → 入っていれば伏せ字にする
- 伏せ字にしても困る情報(番号の一覧、健康の情報)ですか? → それなら貼らない
- 会社にルールはありますか? → なければ、まず簡単なルールを決める
会社のルールがない場合は、次の記事のひな形を使うと早いです。
- ChatGPTに個人情報を入れないための社内ルール例:https://micoficial.github.io/ai-fuseji/articles/ai-shanai-rule.html
- Claudeで使うときは:Claudeに個人情報はどこまで入れていい?
- もう入れてしまったときは:個人情報を入れてしまったら、最初の10分でやること
- AIに貼る前の30秒チェックリスト:https://micoficial.github.io/ai-fuseji/articles/ai-check-list.html
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