契約書をChatGPTでチェックする前に伏せる所と、そのまま使えるプロンプト
取引先から届いた契約書をChatGPTに読ませると、「こちらに不利な条項はどれ?」「損害賠償の上限は?」といった問いに、条文を拾いながら答えてくれます。
ただ、契約書には 当事者の会社名・個人名、署名欄の代表者、住所、振込先の口座 が並びます。
結論から言うと、チェックに要るのは「条文の中身」。名前と番号は [会社1] [氏名1] に伏せても、チェックの答えはほとんど変わりません。伏せてから貼る、が一番かんたんで安全です。
※ ChatGPTの答えは法律の助言ではありません。金額の大きい契約や争いになりそうな契約は、弁護士など専門家に確かめてください。生成AIの扱いは変わることがあるので、使うAIの公式の案内と会社のルールも確かめてください。
貼る前に確かめる3つ
- どのアカウント・プランで使っているか
個人向けの無料版・有料版は、設定しだいで入力が学習に使われることがあります。会社向けのプランは、既定で学習に使わないとされています。設定の場所は ChatGPTに個人情報を学習させない設定 にまとめました。 - 相手と秘密保持の約束をしていないか
交渉中の契約書の案や、すでに結んだ秘密保持契約(NDA)の対象の資料は、「第三者に開示しない」と約束していることがあります。AIに入れることがその約束に触れるかは、条文と会社の考え方しだいです。迷うなら 相手の名前・金額・案件名を伏せてから 貼るか、貼らずに条文だけ書き写して聞きます(社外秘の資料を生成AIに入れていい?)。 - 会社に生成AIのルールがあるか
「契約書はAIに入れない」と決めている会社もあります。ルールがあれば、それが最優先です(生成AIの社内ルールのひな形)。
伏せる所の一覧
| 場所 | 伏せる所 | 伏せ方の例 |
|---|---|---|
| 前文 | 当事者の会社名。個人事業主・フリーランスとの契約なら個人の名前 | [会社1](以下「甲」という)、[氏名1](以下「乙」という) |
| 署名欄 | 代表者の名前、個人の当事者の名前、住所 | 代表取締役 [氏名2] 印 |
| 報酬・支払の条 | 振込先の口座番号、口座名義 | [口座番号1] |
| 通知・連絡先の条 | 担当者の名前、メール、電話 | [氏名3]、[メール1]、[電話1] |
| 別紙・仕様書 | 案件名、商品名、物件の所在地、関わる人の名前 | [案件A]、[住所2](手で置き換える) |
とくに見落としやすいのが 個人との契約 です。業務委託契約で相手がフリーランスのときは、前文の「(以下「乙」という)」の前と、署名欄の「乙 ◯◯ ◯◯ 印」に個人の名前が入ります。
金額(報酬・損害賠償の上限)は、チェックの中身そのものなので残します。名前を伏せれば、どこの会社の契約か分からなくなるので、多くの場合はそれで十分です。
伏せたまま使える契約書チェックのプロンプト3つ
1. こちらに不利な条項を探す
次は[会社1](甲)と当社(乙)の業務委託契約書の案です。当社は受託する側です。 1. 当社に不利な条項を、条番号つきで重要な順に5つ 2. それぞれ、どう直してもらうと良いかの修正案 3. 抜けている条項(検収・著作権・解除・損害賠償の上限など) を、専門用語を減らして表にしてください。 (ここに伏せ字にした契約書を貼る)
2. 社内で回すための要約
次の契約書を、決裁する上司向けに1画面で要約してください。 契約期間・自動更新・報酬と支払日・解除の条件・損害賠償・秘密保持の期間を、表にしてください。 (ここに伏せ字にした契約書を貼る)
3. 前の版との違い
次は同じ契約書の、当社が出した版(A)と[会社1]から戻ってきた版(B)です。 Bで変わった所を条番号つきで一覧にし、当社にとって不利になった所に印を付けてください。 (ここに伏せ字にしたAとBを貼る)
返ってきた答えの [会社1] などは、手元で元の名前に戻して読みます。伏せ字の道具を使っていれば、答えを貼るだけで元に戻せます。
契約書がPDFのときは
- 文字が選べるPDF:本文をコピーして伏せ字の道具に貼り、伏せた文章をChatGPTに渡します。PDFをそのままアップロードすると、署名欄や別紙の名前もそのまま渡ります
- 押印したものをスキャンしたPDF:先に文字を読み取ってから伏せます。読み取りは 画像の文字読み取り(OCR、アップロードなし) でできます
- PDFのまま黒塗りしたい:黒い四角を置くだけでは、下の文字が残ることがあります(個人情報マスキングのやり方)。下の文字ごと消すなら PDF墨消し を使います
迷ったときの3行まとめ
- チェックに要るのは条文の中身。会社名・人名・住所・口座は伏せても答えは変わらない
- フリーランスとの契約は、前文と署名欄の個人の名前を見落とさない
- 秘密保持の約束がある資料と大事な契約は、ルールと専門家の確認の範囲で
AI伏せ字は、AIに渡す前の文章から、氏名・住所・電話・メール・会社名・口座番号を [氏名1] のような伏せ字に置き換える無料ツールです。文章は外部に送らず、ブラウザの中だけで処理します。契約書の「(以下「乙」という)」の前の名前や、「代表取締役 ◯◯ ◯◯ 印」の署名欄にも対応しています。