マイナンバーの黒塗り・マスキング箇所はどこ?なぜ必要?
本人確認でマイナンバーカードのコピーを求められたとき、住民票の写しを出すとき、源泉徴収票を住宅ローンの書類に付けるとき。「マイナンバーは黒塗りして」と言われることがあります。
この記事では、どこを隠すのか、なぜ隠すのか、そして紙・PDF・スキャン画像できちんと隠す方法を、デジタル庁の「マイナンバー よくある質問」をもとにまとめます(2026年11月3日時点の内容です。個別の手続きは、提出先の案内に従ってください)。
なぜ黒塗りが要るのか:会社がマイナンバーを集めてよい場面は決まっている
マイナンバーは、税・社会保障・災害対策など法律で決められた手続きのためだけに使う番号です。デジタル庁のよくある質問では、そうした手続きに必要な場合を除き、民間事業者が従業員や顧客にマイナンバーの提供を求めたり、収集・保管したりすることはできないとされています(Q4-1-3、Q4-4-1)。
つまり、年末調整や社会保険の手続きのように番号が要る手続き以外で書類を受け取る側は、番号を持ってはいけない。だから、出す側があらかじめ隠すか、受け取った側が隠して保管する、という話になります。「黒塗りして」と言われるのは、相手が番号を受け取れない立場だからです。
黒塗り(マスキング)する箇所の一覧
| 書類 | 隠す箇所 | ポイント |
|---|---|---|
| マイナンバーカード | 裏面の12桁の番号と、裏面のQRコード | 身分証明に使うなら、そもそも裏面はコピーしない(下で説明) |
| 通知カード | 12桁の番号 | 本人確認の書類として出すなら、番号を隠す |
| 住民票の写し | 「個人番号」欄 | 番号の要らない手続きなら、取るときに「マイナンバーなし」で請求するのが一番確実 |
| 源泉徴収票 | 番号が印字されている場合だけ、本人・扶養親族の番号 | 会社から本人に渡される源泉徴収票には、もともとマイナンバーは載っていません(下で説明) |
| 扶養控除等申告書などの控え | 本人・家族の個人番号欄 | 手続き以外の目的で写しを渡すとき |
見落としやすいのは裏面のQRコードと、扶養親族の番号です。本人の欄だけ隠して、家族の番号が残っていることがよくあります。
マイナンバーカードを身分証明に使うとき:裏面はコピーしない
デジタル庁のよくある質問では、マイナンバーカードを(番号の手続き以外の)身分証明書として使う場合、裏面のマイナンバーを書き写したり、コピーを取ったりすることはできないとされています(Q4-1-3)。
- 身分証明に使うのは表面だけ。表面には顔写真・氏名・住所・生年月日が載っています
- カードは交付のときのケース(番号の部分が隠れるもの)に入れたまま扱うと安心です
- 相手から「裏も」と言われたら、番号の手続きなのかを確かめる。番号の手続きでなければ、裏面は出さなくてよい
反対に、年末調整など番号が要る手続きで会社に出す場合は、番号が見える形で出すのが正しい扱いです。このときは黒塗りしません。
住民票の写しを出すとき
住民票の写しは、市区町村の窓口やコンビニで取るときに、マイナンバーを載せるか・載せないかを選べます。本人確認や住所の証明に使うだけなら、「マイナンバーなし」で取るのが一番確実です。
手元に番号入りのものしかない場合は、出す前に「個人番号」欄を隠します。受け取る側も、番号入りの住民票を出されたら、番号部分を読み取れないように隠してから保管する対応がとられています。
源泉徴収票のマイナンバーはどこ?:本人に渡す分には載っていない
「源泉徴収票のマイナンバーを隠して」と言われて探しても、見つからないことがあります。国税庁の手引(令和7年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引)では、受給者に交付する源泉徴収票には、マイナンバーは記載しませんとされています(「支払者」欄、「控除対象扶養親族等」欄、「備考」欄の注)。会社が税務署に出す分には番号が入りますが、本人がもらう分は本人・家族・会社の番号の欄が空欄です。
- 手元の源泉徴収票に番号が無いのは正常です。会社に言って番号入りをもらう必要はありません
- 反対に、本人用の源泉徴収票は番号の確認書類にはなりません。確定申告などで番号を示すときは、マイナンバーカードなど別の書類を使います
- 番号が印字されている写し(税務署に出す分の控えなど)を、手続き以外の相手に渡すときだけ、下のとおり隠します
番号入りの源泉徴収票を住宅ローンなどに出すとき
デジタル庁のよくある質問では、源泉徴収票を住宅ローンの手続きなど税以外の目的で使う場合、マイナンバー部分を復元できない程度にマスキングする等の工夫が必要とされています(Q4-5-6)。
大事なのは「復元できない程度に」という所です。次の章のとおり、隠し方によっては下の番号が読めてしまいます。
隠し方の注意:黒く見えても読めてしまうことがある
紙の場合(ペン・シール)
- ペンで塗る:インクが薄いと、光に透かしたりコピーの濃さを変えたりすると数字が浮き出ることがあります。塗った紙を一度コピーして、そのコピーを出すと安心です
- マスキングシール・付せん:はがせば読めます。原本に貼ったまま渡すのではなく、貼った状態でコピーを取り、コピーを出す
- カードは、番号の部分を隠すケースに入れたままコピーする
PDF・スキャン画像の場合
PDFに黒い四角を描いただけでは、下の文字はそのまま残っています。文字を選んでコピーしたり、黒い四角を動かしたり、AIに読み込ませたりすると、番号が出てきます。
- PDFは、塗った部分の下の文字ごと消す「墨消し」をする。無料の Acrobat Reader には墨消しがありません
- スキャン画像(JPEG・PNG)は、塗ったあと画像として保存し直す。レイヤーのあるソフトでは、統合してから保存する
- 番号入りのPDFや画像を、墨消しのためだけに外部のサイトへアップロードしない。隠したい番号を、相手のサーバーに送ることになります
私たちの PDF墨消し は、ブラウザの中だけで動き、ファイルをどこにも送りません。ドラッグで囲んだページを画像にして保存し直すので、下の文字ごと消えます(囲んでいないページは元のまま)。
AIに書類を読ませるときも同じ
「この源泉徴収票の内容をまとめて」「この申告書の書き方を教えて」と、ChatGPT や Copilot に書類を貼ったりアップロードしたりする人が増えています。番号入りのまま入れると、番号の手続きと関係ない相手に番号を渡すことになります。
文章で貼る前に、マイナンバーなどを伏せ字にしておけば、AIには番号が渡りません。AI伏せ字は、12桁のマイナンバー(検査用の数字が合うもの)と「個人番号:」の後ろの番号を見つけて[マイナンバー1]のように置き換えます。どこを伏せるかの全体は 個人情報のマスキング箇所一覧 にまとめています。
まとめ
- 会社がマイナンバーを集めてよいのは、税・社会保障などの決められた手続きだけ。それ以外で書類を出すときは隠す
- 隠す箇所:カード裏面の番号とQRコード、通知カードの番号、住民票の「個人番号」欄、扶養控除等申告書の控えなどの本人・家族の番号欄(本人に渡す源泉徴収票にはもともと載っていない)
- 身分証明に使うマイナンバーカードは表面だけ。裏面はコピーしない
- 住民票は、取るときに「マイナンバーなし」を選ぶのが一番確実
- 「復元できない程度に」隠す。ペンは透けることがあり、PDFの黒い四角は下の文字が残る
PDFのマイナンバーを、下の文字ごと消す。
ブラウザの中だけで動く墨消しです。ファイルはどこにも送りません。
書類の文章をAIに貼る前に番号や名前を伏せるなら(無料)→ Chrome拡張「AI伏せ字」 / Edgeアドオン「AI伏せ字」
参考:デジタル庁「マイナンバー(社会保障・税番号制度)よくある質問(民間事業者の対応)」Q4-1-3・Q4-4-1・Q4-5-6。